4月22日(日)浜離宮朝日ホールで開催されたピティナ・ピアノ指導者セミナーに行ってまいりました。年に一度、一日がかりのピアノ指導者の祭典ともいわれているセミナーです。全国各地から受講生が集まりました。ピアノ先生仲間で仲良くさせて頂いているo先生とo先生のご主人さまもご一緒でした。年に一度のこのセミナーはおいしいお弁当もついています(*^^*)
第一講座
午前中は6人の指導者の先生方の各テーマに沿った指導法の20分ずつのプレゼンテーションでした。指導法、メソッドの紹介、書籍紹介、事例紹介など多岐にわたる内容でした。どの先生も個性豊かな方々で充実感がありました。
特に印象に残ったのは二人の先生のプレゼンテーション。
まず武田真理先生の紹介された Miyoshiピアノメソード。
Miyoshiメソードは、作曲家・三善晃先生が20年の歳月をかけ完成したピアノメソードです。三善先生の作品は、合唱曲、オペラ、オーケストラ作品、ピアノ曲など多岐にわたっています。ピアノ曲は「ソナタ」「アンヴェール」など技術的に高度な作品が多いですが子どものためのピアノ曲も多く素敵な作品ばかりです。
三善先生のピアノメソードはどのようなメソードなのかとても興味がありました。
Miyoshiメソードの特徴は全部で12のプロポジションからできています。
プロポジションとはMiyoshiメソードVol.1 (カワイ出版)の冒頭に次のようにありました。
『プロポジションとは、「ていあん(提案)とか「めいだい(命題)」といういみですが、ここでは、こどもたちがピアノをひきながらすすんでいく「12のせかい(世界)」と、かんがえてください。』
武田真理先生の解説から三善先生のメソードは 『ひびき、美しいハーモニーをピアノを始める最初から感じ取れるように』と工夫されているメソードだと感じました。途中までは、生徒一人で学ぶ曲に加えて、随所に生徒と先生の連弾曲が加えられており、先生と生徒が一緒になって美しい響きを作りだすことができるのも特徴です。
また、ピアノを習う最初から 『鍵盤に重さをのせる、重さを移動する』ということを学べるメソードでした。これはアコースティックピアノのカギになることだと思います。この機会にMiyoshiメソードを見ていきたいと思いました。
また、ほかに印象に残ったのは、西尾 洋先生の 著書 「鍵盤和声 和声の練習帖 手の形で和声感を身につける」についての講演です。「和声の練習帖」は幼稚園児から受験生、音高生、音大生、アマチュア、指導者などあらゆる立場の、導入から頂点まであらゆる水準の人々と濃く深くかかわってきた西尾先生の経験を生かして、和声教育の足りないところを少し補うつもりで執筆された本だそうです。
ピアノ指導上の理論的な疑問があっても、誰に聴いたらいいかわからない。どうやって調べていいかわからない。と思う時があります。ピアノ指導が、楽器の操作方法や発音練習のみにならないようにしたいと常日ごろ思っております。どのように弾くかを考えることは、何を弾いているのか知っていることが前提です。鳴らすのは“音”というより、音によるかたちとそれによって紡ぎだされる物語だと西尾先生もおっしゃっていました。どういうよじれがあって、それがほどけて、次はどうなって安定するのか…ということかなと
到達したいところは和声のその先…
和声が音楽そのものとは思いませんが、作曲家の知性、感性、思考などに近づくために、それが音の何らかの形として表れていることを理解するために、和声の規則や習慣を知ることは大切だと思います。
西尾先生はレッスンでの指導の仕方についても触れて下さいました。私自身の勉強ももちろんですが、今後のレッスンにいろいろな課題が見つかりました。この経験を先へとつなげていきたいと思います。
お昼休みはロビーにて”指導法紹介 ポスターセッション”がありました。
7名の先生方の日々のレッスンや教室運営のキラリと光るひと工夫を紹介していました。
第二講座
午後は「レッスンに役立つ話し方、生徒の話を聞く力」と題して、元日本テレビアナウンサーでフリーアナウンサーの魚住りえ氏の講演でした。相手に伝える話し方として声の出し方や顔ストレッチなどのエクササイズ、ピアノレッスンでも欠かせない、人と人とのコミュニケーション。レッスンに役立つ話し方、相手に伝える話し方と相手の話を聞く力の大切さを伺いました。魚住りえさんは小柄で透き通るような美しい方でした。白いワンピースがお似合いで印象的でした。
第三講座
午後の二つ目の講座はピアニストの仲道郁代先生の講演。とても美しい素敵なピアニストという印象でしたがお話を伺って魅力が何倍にもふくらみました。演奏活動とアウトリーチなど社会的・教育的な活動にも精力的に取り組んでいらっしゃいます。日頃、ピアノ指導をしていていつか、クラシック音楽がすたれてしまうのではないかと危機感を感じることがあります。
仲道先生がピアニストとして社会の中でできることは何か。その可能性を探り、活動していくことが演奏家の責務であるとおっしゃっていました。芸術は広く豊かで深いです。弾き続けることの大切さと、弾き続けてこられたことへの感謝と芸術の広さや豊かさをもっともっと感じ考え探求し、伝えたいという仲道先生の想いが伝わってきました。同時にピアノ指導者にできること責務も。業界としてパワーアップしていかないとこの先どうなっていくかわからない危機感も感じました。試行錯誤しながら考え続けようと思います。
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